創業計画書の作成方法についてご紹介していきます。

 ひな形:創業計画書はこちら

前回「創業計画書の作成について②」では、「必要な資金と調達方法」について、ご覧いただきました。必要な資金は分かるのですが、資金調達がすごく難しいですよね。会社を設立したり、個人事業主で事業進める時に、どこから集めるかが大変になります。しかし、資金の調達先が決まれば、ほぼ最初の第一歩は上手くいったようなものです。

されこれから行うことは、この資金を元に、一年間どのように資金を運用していくかを計画していく内容になります。いわゆる「事業の見通し」を決定していきます。

まず、事業の見通しを決定していくためには

  • 創業当初
  • 一年後または軌道に乗った時

の2種類の事象を決定していく必要があります。

事業はいきなり最初から上手くはいきません。

例えば、学習塾を始めるとなっても、いきなり生徒が来るわけでもないですし、ましてや広告もしていない状況ではずっと来る事もないでしょう。(まれにフラっと来られる方はいらっしゃいますが、、。)なので、借入をするときは、「創業当初」「軌道に乗った時」に分けて計画を立てていくわけです。

それでは、早速見ていきましょう。

創業当初


創業当初とは、その名の通り、事業を始めた年を指します。

売上、売上原価、経費も中途半端にかかる時期でもあるため、正確に計算して記入していく必要があります。記入していく順番が分からないときは、経費から記入していくといいでしょう。

事業の見通し(記入例)

ここで利益ですが、利益には計算する方法があります。

それは、まずこの事業で利益を出す目的を知る必要があります。それは「借入金の返済」と「税金の納付」です。

この中で「納付する税金の計算方法」を見ておきます。

税金は「個人事業主」と「法人」では計算の方法が異なります。

個人事業主:「利益(課税所得)」×「超過累進課税(5%~45%)」= 所得税

法人:「利益(課税所得)」×「法人税率(約40%)」=法人 所得税

として計算をしていきます。そして

税引前利益 – 所得税(法人所得税)= 税引後利益

を算出しておきます。

では、この税引後利益は何に使うのか?

税引後利益 = 借入の返済

です。

もちろん個人事業主の場合は「利益」 = 「給料」になるため、

税引後利益 = 借入の返済 + 給料

と考えてください。

ですので、借入金が300万円(返済期間7年間)であれば、月3.5万円となるため

給料20万円+3.5万円 = 月23.5万円(税引後利益)となります。

では、税引前利益を計算していきます。

税率は個人事業主の10%にしておきましょうか。

税引前利益 – 税引前利益×0.1 = 282

23.5 ÷ 0.9 ≒27万円となります。

では、これで利益を入れてみましょう。

これで、利益を入れると、逆算して売上を計算する事が出来ました。(管理会計的要素ですね。)

では、月謝が1.6万円であれば、55万円÷1.6万円≒35人となります。つまり、創業当初の集客人数は少なくとも今の計画を実行するためには、35人の集客が必要になるという事が確認できたと思います。ちなみに、まだ広告費を計算していないので、広告費を入れるともう少し金額が変わってくるかもしれません。

ここまで計算すると事業の見通しが立ってきます。大体平均的にどのぐらいのお客さんを集客しないといけないのか、税金を考えて利益を計算すると、いくらの売上を立てないといけないのかなどが計算していく事が出来たと思います。

では、 一年後または軌道に乗った時をみてみましょう。

一年後または軌道に乗った時


同じように計算していきますが、やはり軌道に乗っているという事は、安定して売上を出すことが出来ている状態を指します。特に、売上を安定して出すことが出来る状態というのは、全ての費用を網羅できており、一年後の事業の継続にも結び付けることが出来る状態なので、慎重に計画を立てる必要があります。そこで、計算しやすくするために、下記に創業計画書作成支援ツールを構築しましたので、使用してみてください。

創業計画書作成支援ツール

借入額【単位:万円】

利益額の計算【単位:万円】

経費関連【単位:万円】



月ベース損益計算書【単位:万円】

上記に、軌道に乗った時の経費を順番に入れていく事で、自動的に売上が出てくる仕組みになっております。もし、新たな事業を行うにあたって、簡単な予測を立てて頂く事が出来ます。下記に使用方法を掲載しておきますので、ご覧頂きながら使用してみてください。

【使用方法】

空欄に、必要になる数値を入力していきます。

単位は利率を除いては、全て【万円】です。最終結果は計算を押すと実行されます。あくまで小規模な個人事業主ベースですので、実行税率は10%で利益を割り戻して計算しております。

数値を入れているのに、不具合が起こる場合はお手数ですが【クリア】ボタンを押して、再度入力を行ってください。

現状の仕様では記録をしたりすることはできませんので、その場限りのシミュレータとして活用して頂きますようよろしくお願い致します。

まとめ


なかなか創業計画書の作成は難しいです。具体的にどのような事業を行うのかを客観的に説明できる状態を作る必要があります。そのためには、ツールなしには到底難しいと思います(もちろん会計に精通していて、余裕でできますという事であれば問題ないですが)。ツールがあっても、どこに何を書いたらいいかが分からない事もありますので、どうしても困る場合は、ご相談頂ければ対応致します。ただ、ご相談頂いたからには全力でサポート致しますがかといって100%借入審査に通るわけではありませんので、そこはご理解頂きたいと考えております。

上手くシミュレーターを活用しながら、創業計画書の作成を行ってみてください。

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